「日本青書(2024)」が発表 専門家がトランプ2.0時代の日本情勢を議論
中華日本学会と中国社会科学院日本研究所が編纂し、社会科学文献出版社が出版する「日本青書(2024)」が29日、北京市で発表された。本書は日本政府の政権運営の動き、経済安全保障戦略、「インド太平洋新行動計画」、日米同盟などを深く分析し、日本の各分野の状況を研究・判断した。日本の動向を正確に把握するため参考材料を提供する。発表会と同期開催の日本情勢シンポジウムでは、専門家と学者がトランプ2.0時代の対日政策及び日本の情勢について議論した。
経済構造の問題と相互関税のショック
中国社会科学院日本研究所経済研究室の田正副主任は、「日本経済は少子高齢化の激化、財政の余地の縮小、新興産業の育成の遅れといった深いレベルの問題に直面している。2023年には外需のけん引により段階的な回復を実現したが、トランプ政権が相互関税の導入を決定し、日本の主要輸出産業に直接的な衝撃を形成した。自動車産業を例とすると、米国が日本自動車産業に25%の関税を上乗せすることで、日本の自動車メーカーの競争力が大幅に低下する。また物価の高止まりにより企業のコストが増大し、住民の実質賃金が低下する。内需の疲弊と経済回復の安定性が危ぶまれている。日本はDX化とグリーンなモデル転換が緩慢で、イノベーションの活力が不足している。米国の関税政策は日本の輸出の余地をさらに狭め、将来的に経済の持続可能性で試練を迎える」と述べた。
トランプ2.0時代、日米同盟の駆け引きと苦境
中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室の盧昊主任は、「トランプ2.0時代の日米同盟は表面的に安定的な協力を維持するが、共同声明とハイレベルの共通認識はバイデン政権の枠組みを突破しておらず、一部の議題を巡ってはさらに低調子だ。双方の経済・貿易交渉は依然として、食い違いを避け共通認識を優先という探りの段階にあるが、経済・貿易ルールや防衛費分担などの食い違いが協議に伴い激化する可能性がある。日本は対中けん制前線拠点などの面で米国の戦略への協力を強化すると同時に、自国防衛能力の強化を積極的に進めインド太平洋の多国間協力を広げることで、米国と駆け引きをする能力を高めている。ところが日本の対中政策には構造的な深い矛盾がある。中国市場を利用し経済の互恵を維持したいが、米国に追随し「サプライチェーンの脱リスク」と技術規制を推進することで、経済では中国を頼りにし安全では米国を頼りにするというジレンマが激化している。中米の駆け引きにおいて、その戦略的な選択の余地がさらに縮小している」と述べた。
3つの苦境に直面する日本の「経済安保戦略」
上海国際問題研究院の陳友駿研究員は日本の「経済安保戦略」に焦点を絞り、「これは半導体やクリーンエネルギーなどの基幹産業の国産化推進を軸とし、財政補助とサプライチェーン再構築により産業のリスクを減らし、技術のコントロールを強化するものだが、次の3つの苦境に直面している。まず、経済安保措置は中国との協力の足を引っ張り、自身の発展の安定性に影響を及ぼす。次に、戦略的自主性は米国への依存から制限を受け、技術の閉ループの実現が困難だ。それから、米国の技術封鎖に過度に追随すれば、ひとたび米国から見放された場合に、半導体などの支柱産業が長期的な外部の技術への依存により重傷を負うことになる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年4月30日